|
+++
[厭（いや）なところ＝優越感。]
のん☆彡
Y先生が云う。
「Nさん、もう云っちゃおうや。」
先生の言葉を受けて、Nさんが口を開く。
「厭（いや）なとこ.ろからは、何にも生まれないと
思うんですよ。
のん☆彡さんからは、厭（いや）なところしか、
感じられない。のん☆彡さんは、自分の出自や学歴に
優越感を抱いていると思うんですよ。
そこが私にとってみれば、いちいち鼻につくと云うか。
それでも、私としては誠実に対応してきたと思いませんか。
ひとによっては、もう話さえ聞きたくないかも知れないし、
大厭（きら）いなひともいるかも知れません。」
スライドが流れる。わたしの経歴。
Y先生が云う。
「まず、彼女が私立の幼稚園に行っていたと云うのも
あると思います。
私立の幼稚園と云うのは、問題のある子でも彼女のように
頭が善いと特Aと云われにくい。
彼女は普通の社会では間違いなく、ハイレベルなんです。
だけど、高校、大学とハイレベルなところに進んで行くに
つれて、周りがどんどんみんな、ハイレベルになって行く
わけですよ。途端に彼女は通用しなくなるわけですよ。
それで、特Aだと云うことになる。」
先生は言葉を重ねる。
「そうするとどう云うことになるかと云うと、
彼女の優越感に、現状がついて行かないんですよ。
だから、彼女は苦しんでいる。つまり、彼女の苦しみは
厭（いや）なところからきている。
そこには、もう僕は付き合いきれない。僕は今日付けで、
彼女の主治医を辞めます。
彼女の問題には、女性であることも含まれている。
そこは男である僕にはどうしようもないところです。
いったん、女性の先生に委せてみて、うまく行くかどうか。
場合によっては、うちの病院では手に負えないかも知れない。」
わたしは烈しいショックを受けて、ただただ茫然自失の態で
聞いている。
そう云う夢を視た。
夢を視ただけだと判って、ほんとうにほっとした。
それから、ずーんと落ち込んだ。
夢だったわけだけど、深層心理の痛いところを突かれた
ような気持ちになったのだ。
ほんとうのことだと思った。ほんとうにわたしの苦しみは、
厭（いや）なところ＝優越感からきているのだろうと思えて
しまったのだ。
それが、ほんとうのことだとして、
厭（いや）なところ＝優越感はわたしの根幹を為すもの
だから、わたしの苦しみがそこからきているならば、
解消されることなんてあり得ないからだ。
介助者にその話をしたところ、
「ぢゃ、のん☆彡さんは、どう云う性格だったら
生きやすかったと思いますか？」
と訊かれた。
わたしは答える。
「弟みたいな性格。江戸の町人みたいな性格なの。」
「江戸の町人？」
そう。江戸の町人。
弟は文化的だと思う。極めて文化的。徹底して文化的。
それも、何処までも受け手として。
消費文化に華やいだ、江戸の町人のように。
わたしのように、すぐ担い手を標榜（ひょうぼう）
したりせず、あくまで消費するサイドとして、正しく
受け手として、愉しむ。
わたしのように、高みばかりを希むのではなくて、
あくまで地上に留まり、現世利益（げんせりやく）的に、
文化を享受するのだ。
希むことがわたしを生きにくくする。
どうすれば善いだろう？
２０１５．０２．１４．
 |
